今では世界中で愛されているイタリア発祥のコーヒー「エスプレッソ」は、数あるイタリアの美味しいものの中でも特に輝く存在の1つで、イタリア人の生活にはなくてはならないものです。
エスプレッソと普通のコーヒーは濃度やカフェインの量、使うコーヒー豆の種類など多くの違いがあります。ここから、エスプレッソと普通のコーヒーの違いを詳しく解説します。

ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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エスプレッソと普通のコーヒーの違い
エスプレッソと普通のコーヒーの違いを以下の7つにまとめました。
- コーヒーの濃度
- 液量
- カフェインの量
- 豆の種類
- 豆の挽き具合・焙煎度合い
- 抽出器具・作り方
- クレマの有無
順番に解説します。
1.エスプレッソの濃度は普通のコーヒーの約10倍

エスプレッソの濃度は、実は普通のドリップコーヒーの約10倍もあります。
ドリップコーヒーは成分の約1%がコーヒーですが、エスプレッソは専用マシンで圧力をかけてギュッと絞り出すため、成分が約10%も溶け込んだ超濃厚な仕上がりになります。
もともとの抽出方法が全く違うので、見た目は似ていても、実は全く別物の飲み物といえるほど濃縮されているのです。
2.エスプレッソの液量はコーヒーの1/5

普通のコーヒーが1杯150mlほどあるのに対し、エスプレッソはその5分の1にあたる30ml程度と、とても少量です。
これには理由があり、時間をかけてたくさん抽出しようとすると、せっかくの美味しさだけでなく豆の「雑味」まで一緒に溶け出してしまうからです。
コーヒー豆の旨味だけを贅沢にギュッと引き出すために、あえてこの少ない量に仕上げているのです。
3.カフェインの量はエスプレッソ1杯の方が少ない
「エスプレッソはカフェインが強そう」と思われがちですが、実は1杯あたりで比べるとドリップコーヒーよりも少なめです。
エスプレッソ1杯(30ml)のカフェインは約60mgなのに対し、ドリップコーヒー1杯(150ml)は約90mgほど含まれています。
「100mlあたり」で比べればエスプレッソの方が多くなりますが、一度に飲む量で考えれば、エスプレッソの方がカフェイン摂取量は控えめになります。
4.エスプレッソと普通のコーヒーは豆の種類が違う
エスプレッソとドリップコーヒーでは、使われる豆の種類も少し違います。
エスプレッソは、苦味やコクが強い「ロブスタ種」と、香りの良い「アラビカ種」をブレンドして、チョコのような濃厚な味わいに仕上げるのが一般的です。
一方で、ドリップコーヒーは豊かな風味や酸味を楽しめる「アラビカ種」がメインで、品質にこだわった「スペシャルティコーヒー」としても親しまれています。
関連記事:スペシャルティコーヒーとは?基準や定義を簡単にわかりやすく解説
5.豆の挽き具合・焙煎度合いの違い
ドリップコーヒーとエスプレッソでは、豆の「細かさ」と「焼き方」に大きな違いがあります。
まず挽き具合ですが、ドリップ用は味がバランスよく出る「中挽き」が基本なのに対し、エスプレッソ用は短時間で一気に成分を絞り出すために、パウダー状の「極細挽き」にします。

ミディアムローストは、海外において中煎りを意味します
焙煎度については、日本ではミディアムロースト=浅煎りと思われがちですが、海外では
- ライトロースト(浅煎り)
- ミディアムロースト(中煎り)
- ダークロースト(深煎り)
このような表記になっていることが多いです。
ちなみに、苦味の強さ、味の強さを示す「インテンシティ(Intensity)」が表記されているのもエスプレッソ用のコーヒー豆の特徴です。
インテンシティ(Intensity)とは、味の強さを意味するもので、この数字が大きいほど苦味が強くなり、コクが深くなります。
6.抽出器具・作り方の違い

エスプレッソの抽出器具には、大きな業務用エスプレッソマシンと、それを小型にした家庭用エスプレッソマシンがあります。
また「マキネッタ(モカエキスプレス)」と呼ばれる直火式のコーヒーメーカーでエスプレッソを作ることもできます。
イタリアの家庭には必ず1つはあると言われるほど広く愛されている金属製の抽出器具です。

厳密には、マキネッタで作ったコーヒーはエスプレッソとは呼ばず、「モカ」と呼ばれます。
エスプレッソマシンほど圧力がかからず、クレマができないため抽出したコーヒーは「エスプレッソ」とは呼びませんが、エスプレッソのような味のコーヒーが楽しめます。
7.クレマの有無
エスプレッソの見た目で一番の特徴といえば、表面に浮かぶ「クレマ」と呼ばれる、きめ細かな泡です。
この泡にはコーヒーの香ばしさや苦味がギュッと凝縮されていて、本場イタリアではこの豊かな泡立ちを見ること自体が楽しみの一つとされています。
エスプレッソは楽しみ方のバリエーションが豊富
普通のドリップコーヒーはブラックで飲むか、ミルクを加えてカフェオレにして飲むかのいずれかが一般的です。
しかし、エスプレッソの楽しみ方はバリエーションが豊富で、ざっと挙げるだけでも12種類あります。
- カプチーノ
- カフェマキアート
- カフェラテ
- ドッピオ
- リストレット
- カフェルンゴ
- アフォガート
- シェケラート
- アメリカーノ
- ロングブラック
- エスプレッソトニック
- フラットホワイト
それぞれの味わいを簡単に紹介していきます。
1.カプチーノ

イタリアの朝ご飯の定番とも言えるカプチーノ。
イタリアでは焼きたてのクロワッサン「ブリオッシュ」と合わせてバールで朝ごはんを済ませる人も非常に多く、朝のバールは大賑わいです。
カプチーノのレシピは、大きなカップにエスプレッソを作り、そこに「エスプレッソ」「ミルクの液体部分」「ミルクの泡」が1:1:1になるように作るのが基本です。
2.カフェマキアート

マキアート(macchiato)とは、「染められた、シミの付いた」という意味で、エスプレッソをミルクで染めるイメージで作られる飲み物です。
カフェマキアートのレシピは、エスプレッソにスチーマーで泡立てながら温めたミルクを少し加えて作ります。エスプレッソの濃い香ばしさと苦味、ふわりとしたミルクのまろやかさと甘さが見事なハーモニーを奏でます。
マキアートでエスプレッソを楽しむイタリア人は非常に多く、マキアートあり派・なし派で比べても、どちらが多いのかわからないほど愛されています。
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3.カフェラテ

ラテ(latte)とは「乳」の意味で、日常的に一番多く使われるのは牛乳なので、単にラテまたはラッテと言えば牛乳を指します。
イタリアでカフェラテといえば、エスプレッソになみなみと150ml〜200mlほどの泡立てないホットミルクを注ぎます。
味わいはカプチーノよりもさらにマイルドで、温まりたいときには最適です。朝ごはんや小腹が空いたときなどにも、ミルクたっぷりのカフェラテはよく飲まれます。
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4.ドッピオ

ドッピオ(doppio)は「2倍」という意味です。
エスプレッソマシンには抽出口が1つのものと2つのものがあり、ドッピオは2つ口の方を使って1つのカップに2杯分のエスプレッソを作ります。
単純に一度に2杯分のエスプレッソを飲みたいときに注文します。
5.リストレット

リストレットとは、エスプレッソの味をさらに凝縮させた濃厚なコーヒーのことです。
エスプレッソマシンでの作り方は至って簡単で、通常のエスプレッソの半分の量まで出たら出来上がり。
具体的に説明すると、エスプレッソは抽出の序盤で一番濃く、そこにコーヒーの美味しい所が凝縮されていて、長く抽出するほど水で薄まっていきます。
つまり、 普通のエスプレッソは水とコーヒーの割合が9:1だったのに対して、リストレットだと8:2のようなイメージです。
抽出時間が短い分、通常のエスプレッソよりリストレットの方がカフェイン量が少なくなりますが、味のインパクトは強くなります。
リストレットはコーヒー豆の苦味が2倍というわけではなく、コーヒー豆の持つ甘みや酸味も濃く抽出されるので、エスプレッソの楽しみ方のひとつとして、イタリアで親しまれています。
6.カフェルンゴ

引用:coffeecircle
ルンゴ(lungo)とはイタリア語で「長い」という意味です。
リストレットとは逆に、普通のエスプレッソのおよそ2倍の量になるまで抽出したのがルンゴです。
ルンゴと注文を受けたら、コーヒーがエスプレッソの小さなカップにいっぱいになるまで待ってから提供します。
7.アフォガート

アフォガート(affogato)は「溺れた」という意味で、レストランで食後に「アフォガート」と言えば、バニラアイスクリームにエスプレッソをかけて食べるものを指します。
冷たいアイスクリームに熱いエスプレッソをかけると、アイスクリームがとろりと溶けて美味しいデザートのできあがりです。
8.シェケラート

イタリアにももちろんアイスコーヒーはありますが、このシェケラートは特別なアイスコーヒーです。
エスプレッソを氷で満たしたシェイカーにいれて、ほんの少しガムシロップを加えシェイカーで振った飲みものです。
冷やしたシャンパングラスに素早く注いだらできあがり。暑い夏の日の至福の一杯です。
9.アメリカーノ

アメリカーノ(Americano)は、エスプレッソをお湯で薄めたコーヒーです。イタリア人でアメリカーノを飲む人はかなり少数派です。
外国からの移住者や旅行客に主に飲まれている、といった印象です。イタリア人の多くはこのアメリカーノという飲み方をあまり支持しない傾向にあります。
薄めのコーヒーならルンゴを飲むし、体を気遣うならデカフェかオルゾ(caffe` d'orzo=大麦コーヒー)を飲むので、あえてアメリカーノを飲む場面がないのです。
しかし、濃くて量の少ないエスプレッソに慣れない人には、ペーパードリップのコーヒーほどに薄められたアメリカーノはホッとする1杯となるでしょう。
イタリアのバールではメニューに無くても「ウン カフェ アメリカーノ ペルファボーレ」と伝えれば、どこでも注文できます。
10.ロングブラック

引用:alliancecoffee
ロングブラックは、エスプレッソをお湯で割る飲み方ですが、アメリカーノとは「注ぐ順番」が逆なのがポイントです。
アメリカーノはエスプレッソの上からお湯を注ぎますが、ロングブラックは先にお湯を準備し、その上にエスプレッソを落とします。
こうすることで、エスプレッソの命ともいえる表面の泡(クレマ)が消えずに残り、より香ばしく豊かな風味を楽しめるようになります。
ちなみに、この呼び名はオセアニア地域で一般的で、本場イタリアの喫茶店(バール)ではほとんど通じません。
もしイタリアで同じ味を楽しみたいときは、無理に名前で注文せず、エスプレッソとお湯を別々に頼んで自分で合わせるのが一番確実ですよ。
11.エスプレッソトニック

エスプレッソトニックは、氷を入れたグラスに炭酸水、エスプレッソの順に注いだ爽やかなドリンクです。
2010年頃に北欧のカフェで誕生して、特にオーストラリアでは夏の定番として定着しています。
エスプレッソと炭酸水は1:3くらいで作るのが一般的です。エスプレッソを注ぐときにシュワッと泡が上がってくるので、サイズに余裕のある大きめのグラスで作ってください。(レモンフレーバーの炭酸水で作っても美味しくできます。)
関連記事:エスプレッソトニックとは?家でプロの味を再現するコツも紹介!
12.フラットホワイト

引用:tasteatlas
フラットホワイトとは、カフェラテとカプチーノの中間くらいのものですが、厳密な定義はありません。
カプチーノのように大きなカップにエスプレッソを作り、スチーマーで泡立てないように温めたミルクを注いだものです。
エスプレッソに対して空気を含んだなめらかなミルクを1:2くらいの割合で注いで作ります。
こちらはロングブラックと共に、オーストラリアやニュージーランドで愛されていたスタイルで、最近は日本でも美味しいと話題になっています。
関連記事:フラットホワイトとは?カフェラテとの違いや作り方なども紹介
まとめ
今回はエスプレッソと普通のコーヒーの違いを解説してきました。
ちなみに日本で販売されている家庭用のエスプレッソマシンには、エスプレッソとドリップコーヒーを両方作れる機種があり、これが大変人気です。
上位機種になると、 ボタン1つで、カフェラテやカプチーノなどのミルクメニューが作れるものも登場していて、コンビニコーヒーのマシン感覚で使えるようなマシンもあります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。


