コーヒーをただ普通に飲むのではなく、シナモンなどの香辛料を入れたり、フルーツを添えたりして楽しむ「アレンジコーヒー」。
かつては邪道と言われたこともありましたが、今ではカフェの個性を表す「シグニチャービバレッジ」として欠かせない存在になっています。
その中でも、ここ数年で夏の代名詞として完全に定着したのが、エスプレッソにトニックウォーターを合わせた「エスプレッソトニック」です。
日本でじわじわ登場し始めた2017年頃にはまだ珍しい飲み物でしたが、今やスターバックスリザーブや全国のロースタリーカフェで、夏一番の人気メニューとなっています。
今回は、そんなエスプレッソトニックの歴史から、なぜこれほど日本で愛されるようになったのか、そして自宅で「プロの味」を再現するための具体的なレシピまで、詳しく解説していこうと思います。
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エスプレッソトニックとは

エスプレッソトニックとは、エスプレッソコーヒーにトニックウォーターを入れてかき混ぜてから飲むアレンジコーヒーです。
エスプレッソトニックの誕生は諸説ありますが、2010年にヨーロッパのカフェで誕生したのではないかと言われています。
その美味しさから瞬く間に世界中に広がり、特にオーストラリアでは定番のエスプレッソドリンクとして定着しました。暑いオーストラリアの夏には炭酸入りのエスプレッソが合うのかもしれません。
なぜ炭酸水ではなく「トニックウォーター」なのか?

「コーヒーにシュワシュワ感を出すなら、普通の炭酸水でもいいんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、エスプレッソトニックがここまで普及したのは、普通の炭酸水ではなく、あえて「トニックウォーター」を合わせたからこそなのです。
そこには、味のバランスを整えるための理由があります。
1. 「苦味」と「甘味」の絶妙なバランス
普通の炭酸水は「水と炭酸ガス」だけでできていますが、トニックウォーターには「糖分」と「柑橘類の皮などのエキス(苦味成分)」が含まれています。
エスプレッソ自体も強い苦味を持っていますが、トニックウォーターに含まれる独特の苦味と甘味が合わさることで、コーヒーの果実味(フルーティーさ)が引き出され、爽やかな味わいに変化するのです。
2. 「層」を作りやすい比重の差
見た目がおしゃれな「2層」を作るのにも、トニックウォーターが役立っています。
トニックウォーターに含まれる糖分のおかげで、ただの水よりも比重が重くなります。そのため、グラスの下にトニックを注ぎ、上からゆっくりエスプレッソを落とすことで、混ざり合わずに綺麗なグラデーションを保ちやすくなるのです。
3. 缶コーヒーの失敗を乗り越えて人気を勝ち取った理由
かつて飲料メーカーが発売して苦戦した「炭酸コーヒー」の多くは、単にコーヒーを炭酸水で割っただけのものでした。
コーヒーに炭酸を加えると、炭酸ガスの刺激でコーヒーの酸味が強調されすぎてしまい、「酸っぱくて苦い」という飲みにくい味になりがちだったのです。
エスプレッソトニックは、トニックウォーターの甘味でその「尖った酸味」をマイルドに包み込んでいます。
これこそが、かつての失敗を乗り越えてエスプレッソトニックが人気を勝ち取った最大の要因と言えるでしょう。
ちなみに、もし甘いのが苦手で普通の炭酸水を使いたい場合は、少しだけガムシロップを加えるのがコツです。それだけで、バラバラだったコーヒーと炭酸の味が不思議と一つにまとまりますよ。
エスプレッソトニックに合うトニックウォーター3選
エスプレッソトニックの味の半分はトニックウォーターで決まります。ここでは、入手しやすさと味わいの観点から、おすすめの3銘柄を比較解説します。
1. フィーバーツリー(Fever-Tree)プレミアム トニックウォーター

5,487円 24本
本気で美味しい1杯を作りたいならこれ一択
今やスペシャルティコーヒー専門店のスタンダードとなっているのが、このフィーバーツリーです。人工甘味料を使わず、キナの木由来の天然の苦味とシトラスの香りが特徴。
エスプレッソが持つフルーティーな酸味や華やかな香りを一切邪魔せず、むしろ底上げしてくれるような高級感のある仕上がりになります。
少し価格は高いですが、カフェで飲むあの味を再現したいなら、これをおすすめします。
2. ウィルキンソン(WILKINSON)トニック

2,403円 24本
ガツンとした飲み応えとコスパを重視するなら
アサヒ飲料のウィルキンソンは、強めの炭酸としっかりとした甘味が特徴です。非常にパワフルな味わいなので、深煎りの豆を使って「黒ビールのようなコク」を楽しみたい時におすすめです。
スーパーやコンビニでも手に入りやすく、価格も手頃なので、毎日気軽にエスプレッソトニックを楽しみたい方の強い味方ですね。
3. カナダドライ(CANADA DRY)トニックウォーター

2,682円 24本
バランスが良く、どんなコーヒー豆にも合わせやすい
コカ・コーラ社が提供するカナダドライは、ウィルキンソンに比べると少しマイルドで、苦味と酸味、甘味のバランスが非常に整っています。
クセが少ないため、中煎りの豆など繊細な味のコーヒーを使う際にも適しています。「初めて自分で作ってみるから、まずは失敗したくない」という方には、最も扱いやすい銘柄と言えるでしょう。
エスプレッソトニックに合うコーヒー豆
エスプレッソトニックの美味しさを引き出すには、トニックウォーターの甘味や苦味に負けない「芯のある豆」を選ぶのがポイントです。
黒ビールのような重厚感とコクを楽しみたい方には、デロンギの「ムセッティ ロッサ」がおすすめで、スタバの店舗のコーヒー豆のような力強い苦みが特徴です。
値段もリーズナブルで、量も250gサイズなので、お試しにちょうどいいサイズだと思います。
関連記事:実際に飲んだエスプレッソ用コーヒー豆と粉おすすめ12選!クレマが出やすいのはこれ
【裏技】エスプレッソマシンがなくてもOK!ドリップでの再現レシピ

「エスプレッソトニックを作りたいけど、マシンがないから諦めていた」という方も多いと思いますが、実はハンドドリップでも十分に美味しい1杯が作れます。
1. 豆の挽き目は「極細」にする
もしご自宅に高性能なグラインダー(Variaなどの上位モデル)があるなら、ドリップ用よりもかなり細かく、パウダーに近い状態まで挽いてみてください。
表面積を増やすことで、少ないお湯でもしっかりとコーヒーの成分を溶かし出すことができます。
2. 「粉1:お湯3」の黄金比

通常、ドリップコーヒーは粉に対して15倍前後のお湯を使いますが、エスプレッソトニック用には「粉20gに対して、お湯はわずか60g」程度で抽出します。
- 蒸らし: 20gのお湯で30秒〜1分、しっかり蒸らします。
- 本抽出: 残り40gのお湯を、できるだけゆっくり、点滴のように落とします。
これで、エスプレッソに近い「コーヒーエキス」が完成します。
3. 2層に仕上げる「比重」のテクニック
ここが一番の「映え」ポイントであり、味を分けるコツです。
- グラスに氷をたっぷり入れ、トニックウォーターを7分目まで注ぎます。
- トニックを注いだ後、軽くステア(かき混ぜる)して温度を下げておきます。
- マドラーやスプーンの背を伝わせるようにして、先ほどの「濃縮コーヒー」をそーっと氷の上に落としていきます。
トニックウォーターに含まれる糖分のおかげで、比重の軽いコーヒーが上に浮き、誰でも簡単に美しいグラデーションを作ることができます。
味の決め手は「注ぎ方」にあり
飲む時は、まずは混ぜずに一口。トニックの爽やかさとコーヒーの香りのコントラストを楽しみます。そのあと、全体をゆっくり混ぜることで、カクテルのような一体感が生まれます。
「普通のコーヒーを炭酸で割っただけ」とは一線を画す、トロリとした濃厚なエキスとトニックの融合。
「マシンがないから」と敬遠していた方も、この濃縮ドリップなら今すぐ楽しめるので、ぜひこの夏の新習慣に取り入れてみてください。




