世界中に「100歳を超える高齢者が元気に暮らす地域」が存在します。それらは「ブルーゾーン」と呼ばれ、ギリシャのエーゲ海に浮かぶイカリア島はその一つです。
研究者が島民の生活を調査したところ、一つの興味深い習慣が浮き彫りになりました。
それが、彼らが毎日欠かさず飲んでいる「ギリシャコーヒー」です。今回は、その驚きの健康効果と、自宅で楽しめる伝統的な淹れ方をご紹介します。
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ギリシャコーヒーとは?トルココーヒーとの深い関係
ギリシャコーヒーは、非常に細かく挽いたコーヒー豆を水と一緒に煮出し、上澄みを飲むスタイルです。
実は、淹れ方は「トルココーヒー」とほぼ同じです。かつてオスマン帝国の支配下にあった歴史的背景から生まれた文化ですが、ギリシャの人々にとってこれはあくまで「ギリシャコーヒー(Ellinikos Kafes)」。お互いの誇りが詰まった呼び名なのです。
最大の特徴は、飲み終わった後のカップの底に溜まった「粉の模様」で運勢を占う文化があること。
これは「コーヒー占い(タッショーグラフィー)」と呼ばれる、中東からギリシャ、東欧にかけて広く親しまれている伝統的な占いです。

どんな模様が出るのかによって、運勢を占います。
- ハート型: 新しい恋の予感や、対人関係の好転。
- 鳥: 良い知らせが届く、あるいは旅行のチャンス。
- 道(筋状の模様): これからの進路や、解決すべき課題。
- 指輪: 結婚や契約の成立。
- 真っ黒(粉がびっしり): 今は少し考えすぎ、あるいは休息が必要というサイン。
ギリシャのカフェ(カフニオ)では、地元の人たちがこれを見て「あーだこーだ」と盛り上がるのが日常の光景です。
占いといっても、おみくじのような感覚で「一杯のコーヒーをきっかけに会話を楽しむ」ためのコミュニケーションツールという側面が強いですね。
ギリシャコーヒーは濃厚でコクが深い

気になるギリシャコーヒーの味ですが、普通のコーヒーに比べてかなり濃厚でコクが強いです。
エスプレッソに近いのですが、エスプレッソとは少しちがう斬新な感じです。しかし砂糖の影響で濃厚でも飲みやすく、後味は意外にもあっさりとしています。
ギリシャコーヒーの効果・効能
なぜギリシャコーヒーが健康に良い理由は、アテネ大学などの研究で明らかになりつつあります。
まず注目すべきは、血管を若返らせる効果が期待できるポリフェノールです。
このコーヒーは豆を直接煮出す製法なので、豆本来が持つ抗酸化物質を効率よく抽出でき、これが血管機能の改善や心疾患リスクの低減に寄与すると考えられています。
また、煮出す過程でカフェインの出方が程よく調整されるため、一般的なドリップコーヒーに比べて体への刺激が優しいのが特徴です。
さらに、フィルターを通さないことで、豆に含まれる天然のオイル成分がそのままカップに残ります。
関連記事:【味が変わる】コーヒーオイルの特徴や健康効果をわかりやすく解説
ギリシャコーヒーの作り方

専用の小鍋「ブリキ」を使うのが理想ですが、小さな手鍋でも代用可能です。
【材料】

- 極細挽きのコーヒー豆: 5~7g(パウダー状のもの)
- 水: 60~70ml(デミタスカップ1杯分)
- 砂糖: お好みで(グリコ:甘め、メトリオ:中辛、スケト:砂糖なし)
自宅のコーヒーミルでここまで細かく挽くのは難しいので、写真のLAVAZZAやKIMBOなど、エスプレッソ用のコーヒー粉を使うのが手軽でおすすめです。
ちなみに、普通のミルで細かくしたコーヒーを使うことはおすすめしません。なぜなら、ギリシャコーヒーはフィルターで濾さないので、最後に粉がカップの底に沈んでもらわないと飲めません。
粗い粉だとお湯の中で浮遊し続けてなかなか沈みませんが、極細挽きにすることで、お湯を吸って「泥」のような状態になり、カップの底にピタッと重く沈殿しやすくなります。
これによって、綺麗な上澄みだけをすすれるようになります。
【手順】
- ブリキに水、コーヒー粉、砂糖を入れて軽く混ぜ、弱火にかけます。
- ゆっくり加熱すると、表面に「カイマキ(Kaimaki)」と呼ばれるクリーミーな泡が立ってきます。
- 沸騰して泡が盛り上がってきたら、溢れる直前で火から下ろします。
- 泡を潰さないよう、ゆっくりとデミタスカップに注ぎます。
ギリシャコーヒーを鍋からデミタスカップに移す際に、コーヒーの粉も一緒にデミタスカップに入ってしまいますが、特に気にせずに全部入れてしまって大丈夫です。
そのために、ギリシャコーヒーを飲む際にはじっくりと時間をかけて飲むのが一般的です。
コーヒーの粉がデミタスカップの下に沈んで、上澄みだけ飲むようなイメージです。すぐに飲むとコーヒーの粉も一緒に飲んでしまいザラザラします。
ギリシャコーヒーの「カイマキ」と「クレマ」の違い

ギリシャコーヒーの美味しさの指標は、表面に浮かぶ「カイマキ」と呼ばれるきめ細かい泡です。
粉が細かいと、加熱した際にコーヒーの成分やガスが微細な泡として立ち上がりやすくなります。粗挽きだとスカスカな泡になってしまいますが、極細挽きだと、クリーミーで消えにくい濃厚な泡が完成します。
ちなみに、カイマキの見た目はエスプレッソのクレマに似ていますが、発生プロセスは全く異なるものです。
一言で言うと、「圧力で絞り出した泡」か、「煮出して膨らんだ泡」かという違いがあります。
カイマキ(ギリシャコーヒー)
「カイマキ」は、専用の小鍋であるブリキを使い、水からじわじわと加熱していく過程で発生します。
コーヒーの微粒子、タンパク質、そして脂質などが混ざり合いながら、沸騰直前の対流によって空気を巻き込むことでふっくらと膨らんでいくのが発生の仕組みです。
クレマよりも少しふんわりとした質感を持ち、色は明るい茶色をしています。
このカイマキが表面を覆うことで、コーヒーの大切な香りを閉じ込め、温度が下がるのを防ぐという実用的な役割も果たしています。
クレマ(エスプレッソ)

一方で、エスプレッソの象徴である「クレマ」は、専用のマシンで圧力をかけてお湯を通した際に、コーヒー豆に含まれる二酸化炭素がお湯に溶け込み、カップに注がれた瞬間に解放されることで微細な泡となったものです。
その特徴は非常に密度が高く、色は赤褐色をしており、時にはタイガースキンと呼ばれる独特の模様が表面に現れることもあります。
もうひとつのギリシャ流:泡コーヒーの「フラッペ」
ギリシャのコーヒーを語る上で、伝統的な温かいコーヒーと並んで外せないのが、冷たい泡コーヒー「フラッペ(Frappé)」です。
フラッペとは?
1957年にギリシャで偶然生まれた飲み物で、現在では現地の夏に欠かせない国民的ドリンクとなっています。
最大の特徴は、グラスの半分を占めるほど高く層を成す、「硬く濃密な泡」です。
ギリシャコーヒーとの違い
ギリシャコーヒーが「レギュラーコーヒーの粉」を使うのに対し、フラッペは「インスタントコーヒー」を使用します。
作り方は、少量の水、インスタントコーヒー、砂糖をシェイカーやミキサーで撹拌し、泡を作ってから氷と冷水を注ぎます。
まとめ
今回は、ギリシャコーヒーを紹介しました。ちなみに、私が実際に飲んだギリシャコーヒー用の豆(エスプレッソ用)の紹介記事もあります。
ギリシャコーヒーでもエスプレッソでも、重要になるのは豆の鮮度と質の高さです。あわせてチェックしてみてください。

