エスプレッソは本場イタリアでは老若男女を問わず飲まれるポピュラーなもので、本当に美味しいエスプレッソは苦味がほとんどなく、円やかでフルーティーな香りさえ漂います。
本記事では、イタリアでエスプレッソの味わいを生み出している背景や、エスプレッソが格段においしくなるイタリア流の飲み方について紹介します。

ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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本場イタリア流エスプレッソの飲み方

イタリアでは街のあちこちに小さなバール(bar)があります。人口で換算すると日本の喫茶店数よりはるかに多い割合です。
日本人にとっての缶コーヒーやコンビニコーヒーのような気軽さで、バリスタが精魂込めて淹れたエスプレッソを飲めるのです。
イタリア人は1日に5〜6杯はエスプレッソを飲む
イタリア人は1日に5〜6杯はエスプレッソを飲んでいます。
都心部で働くイタリア人だと、朝は出勤途中にバールに立ち寄り、エスプレッソとミルクをあわせたカプチーノを朝食代わりに飲んでいきます。
その後は普通のエスプレッソのことが多く、午前中の休憩のとき、昼食後、午後の休憩や夕方など、1日のうちの何度もバールに足を運びます。
エスプレッソには「express(急行)」という意味があります。日本の喫茶店では時間をかけてドリップしたコーヒーをゆっくり味わいますが、イタリアのバールで飲むエスプレッソは、抽出も飲むときもまさに急行列車のようです。
バリスタは注文を受けてから1分も経たないうちにカップに入ったエスプレッソをお客の前に置いてくれます。
お客は次の瞬間には、砂糖を投入し、3口ぐらいで飲み切ります。エスプレッソは抽出したてが一番美味しいからです。
砂糖もほとんどかき混ぜず、溶け切っていない状態で飲むので底に溜まりますが、残った砂糖をスプーンですくって食べるのがイタリア流です。
地域によってエスプレッソカップの特徴が異なる

イタリアでエスプレッソを頼むと、とても小さな卵型のカップに入って出てくることが多いです。
卵型はマシンでエスプレッソを勢いよく注ぎ入れたときに、カップの中でコーヒー液がうまく循環するデザインです。
イタリアエスプレッソ国立研究所はカップの形状について4つの条件を示している

イタリア国内はもちろん世界中で人気のヌォーバ・ポイントのカップ。エスプレッソが冷めにくい肉厚のカップ。
イタリアにはエスプレッソの品質を守る「イタリアエスプレッソ国立研究所」という機関があり、エスプレッソの泡立ちと香ばしさやなめらかさを味わえる最適なカップの形状について、次のような条件を示しています。
- ⽩い陶器のカップ
- カップの内側に装飾がない
- カップの形状が楕円形であること
- カップの容量は50〜100ml
エスプレッソ用のカップの形は同じでも厚みは地域によって異なります。
エスプレッソが甘酸っぱく軽やかな味わいの北イタリアでは、コーヒーの香りを感じやすい薄いカップを使います。
一方、野生的な風味をもつロブスタ種のコーヒー豆をブレンドした、力強い味わいのエスプレッソが好まれる南イタリアでは、味の感じ方を和らげる厚みのあるカップが多く、中には厚さ1cmというカップも使われています。
イタリアのエスプレッソには10の評価項目がある

引用:Italian Espresso National Institute
イタリアには「認定イタリアンエスプレッソ」として上のようなマークがついたコーヒーや、それを提供する店があります。
認定機関は、エスプレッソの伝統と品質を守るために設立されたイタリアエスプレッソ国立研究所です。
マシン・専用グラインダー・資格のあるバリスタ・コーヒー豆の4点で基準を満たし「認定イタリアンエスプレッソ」の提供者として認証された店は、10の項目に基づき定期的に味わいをチェックされます。
1.クレマの色 2.クレマのきめ細かさ 3.アロマ(香り)4.ロースト 5.コク 6.酸味 7.苦味 8.渋味(がないこと)9.全体のポジティブな香り 10.全体のネガティブな香り(がないこと)
- クレマの色はヘーゼルナッツ色~こげ茶色に近い色合いであること
- クレマはきめが細かく、密度が高く、泡の大きさが均一であること
- 果物・トースト・チョコレートのような強烈な⾹りが強く⿐に抜けること
- 以上の感覚が飲み込んだ後も、数秒~数分間持続すること
- 味わいはまろやかでコクがあり、滑らかであること
- 酸味と苦味のバランスがよく、どちらかが優勢に感じられないこと
- 渋みは全くないか、ほとんど感じられないこと
- 全体としてポジティブな香りが感じられ、ネガティブな香りが感じられないこと
本場イタリアのエスプレッソの味わいはこのような評価で厳しく品質が守られているのです。
イタリア流エスプレッソを家で美味しく入れる方法
エスプレッソを自宅で淹れるにはセミオートや全自動のエスプレッソマシンか、もしくは直火式エスプレッソメーカーの「マキネッタ」と呼ばれる抽出器具を使います。
エスプレッソマシンには電動式や手動式があります。お店のようなエスプレッソを毎日飲みたい人は電動式、時間をかけて抽出の過程を楽しみたい人には手動式がおすすめです。
イタリアの7割の家庭で使われる直火式エスプレッソメーカー「マキネッタ」

イタリアの7割の家庭で使われるコーヒー抽出器具「マキネッタ」
「マキネッタ」は少量の濃いコーヒーが簡単に淹れられる抽出器具です。
別名を「モカポット」ともいい、イタリアでは「モッカ(MOKA)」という愛称で呼ばれ、7割の家庭で普及しています。
抽出も手入れも簡単で価格も手ごろなため、ヨーロッパを中心に世界で広く使われています。
ただしマキネッタで淹れたコーヒーは、バールで飲むエスプレッソと比べるとお湯の量が多くさらっとした口当たりで、クレマもほとんど出ません。
上記のように厳密に評価されたお店のエスプレッソとは全く違う味わいですが、雑味はなく香りやコクもしっかりしています。
エスプレッソマシンで入れる方法
家庭用エスプレッソマシンでエスプレッソを抽出する方法を簡単に説明します。
まずタンクに水を入れ、ホルダーに極細挽の粉を入れます。粉の量は1杯分なら7~10gが目安ですが、マシンによって異なるので説明書を見て好みの量を決めてください。
お店ではエスプレッソ用のグラインダーで1杯分ずつ極細挽にして、挽きたての新鮮なコーヒー粉を使いますが、家庭では粉で購入することが多いと思うので、できるだけ新鮮なコーヒーを使用します。(新鮮なコーヒーは香り高く、クレマも綺麗に出ます)
次に、ホルダー内に粉を行き渡らせるレベリングをします。ホルダー全体を手で叩いたり、軽く揺すったりして、内部まで振動させ、全体の密度を均一にします。
次に、コーヒー粉を押し固めるタンピングを行います。タンパーと呼ばれる器具を使って水平を確かめながら軽く体重をかけて、まっすぐ1回押し、そのまま上へ引き上げます。
ホルダーの縁に付いた粉をそっと払います。このとき、ホルダーを叩いてはたき落とそうとすると、せっかく固めた粉が偏ったりひび割れたりしてしまい、抽出のときにお湯がすき間に入り込み、味わいが変わってしまいます。(この現象をチャネリングと呼ぶ)
最後にホルダーをまっすぐ機械にセットして抽出ボタンを押し、好みの量の抽出量で止めます。抽出時間の目安は20~30秒、量の目安は30mlぐらいです。
マキネッタを使ったエスプレッソの入れ方
マキネッタを考案したビアレッティ社の「モカエキスプレス」という製品を使った淹れ方を紹介します。
コーヒー粉は細挽き、もしくはエスプレッソ用の極細挽きのコーヒーを使います。細挽きを使う場合は豆の状態で買って、家庭用のコーヒーミルで挽くことができるので新鮮な状態で楽しめるメリットがあります。
まず、マキネッタ下部のボイラー部分に水を入れておきます。水の量は内側のネジの高さまでです。

お水を入れて火にかけるのが一般的ですが、ケトルで沸かしたお湯をボイラーに入れてもOK
次にコーヒー粉をバスケットの縁まで入れ、全体を軽く叩き均一にならします。粉を押し固める必要はありません。
縁についた粉をそっと払い、ボイラーの上にはめ込み、上部のサーバー部分を回して取り付けます。
とろ火にかけて3分ぐらいでシューシューという音が聞こえ、コーヒーの抽出が始まります。
終わりがけには上がっていくコーヒー液が少なくなって、空気が混じるポコポコっという音に変わるので、すぐに火を止め、カップに注ぎます。
関連記事:イタリア生まれのコーヒーメーカー「マキネッタ」とは?使い方やクレマを作るコツまで紹介
イタリア流エスプレッソの飲み方を楽しもう
イタリア流のエスプレッソの飲み方について紹介してきました。エスプレッソがとても身近で飲みやすい飲み物であること、イタリア人の生活の一部となっていることを感じていただければ幸いです。
もしおいしいエスプレッソの店に行く機会があれば、ぜひクレマを観察したり、砂糖を入れてみたりして、イタリア人のように気軽なデザート感覚を味わってみてください。
次の記事では、イタリア製のエスプレッソマシンを特集しています。自宅で美味しいエスプレッソが簡単に楽しめるおすすめの機種などを紹介しています。
関連記事:イタリア製エスプレッソマシンおすすめランキング9選!
マキネッタにおすすめのコーヒー豆も紹介しています。


